英語初心者・初級者専門の英語学習コーチ/日本唯一の学校・教育委員会向け学校教材アドバイザーのブログ

イギリスの大学院で修士号取得後、10年以上、学校・塾向け教材出版社に勤務し、教育現場の「表」も「裏」も知り尽くした、アラフォー男子の教育に関するブログ

中学校の部活について 外部の視点から一言。

部活

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先日、といっても結構前ですが、ヤフーニュースで部活についてのニュースが出ていました。「部活動に休養日 ブラック部活に縛られ『授業や学級運営手回らない』」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170107-00000077-san-soci)。

 

「夜回り先生」で知られる元高校教師で教育評論家の水谷修氏は「自分には『教師は聖職』という思いがあり、生徒が困っていれば人として応えてあげたいと考え、夜回りなどもやってきた」と振り返りつつ「行政も親も、これまで教師の『人』としての思いに甘えすぎてきた」と指摘しています。

 

さらに、水谷さんは「部活動は社会体育として運動のプロが教えるべきで、教師の本来の仕事は授業と学級運営。こうした活動に専念できれば、人として子供たちと向き合うことができる教師も、もっと増えるのではないか」と話している。

 

実際、日本の教員の労働時間は他国に比べて長い。平成25年の調査では、1週間当たりの中学教員の勤務時間は経済協力開発機構(OECD)加盟国で最長の53・9時間。調査参加国平均が38・3時間だった。特に部活動など課外活動の指導は7・7時間で、参加国平均の2・1時間を大きく上回っている。

 

教育問題に詳しい名古屋大学大学院の内田良准教授は「部活動は学校で教育以外の付加的な価値を与える日本特有の文化で大切なシステム」と評価する一方、「本来自主性を重んじる部活動であり、平日も土日もつぶして活動するのはやり過ぎ。教員が部活動を仕事としてやるなら賃金を出すべきだし、ボランティアなら相応の日数で活動すべきだ」という。

 

~以上は記事より一部抜粋~

 

近年、部活に関しては先生から「ブラック」という指摘が相次いで出ています。「部活問題対策プロジェクト」(http://www.geocities.jp/bukatumondai)で署名活動も行われていますし、朝日新聞の社説でも「中学の部活動 先生も生徒も休もう」というタイトルで、中学校の部活問題を取りあげてました。

 

たしかに部活を真面目にやられている先生って、本当に教育熱心だし大変だなーって思います。はっきり言って「ボランティア」以外の何ものでもないですからね。地域によって異なりますが、休日につく手当てなんて多くても3000円程度ですから。

 

高校生のバイトの時給より安いなんて、これじゃあバカバカしくてやってられませんよね。しかも遠征で相手校に行くのならまだしも、自分の学校が会場になったら準備や片付け、色々なもめ事が起こらないように気を遣う等々で大変ですよ。

 

私の知り合いの先生にも、部活の顧問が嫌で嫌で仕方がないという先生がかなりいます。労働基準法に反するという理由を除外すると、「ルールも知らないのに運動部の顧問をさせられている」、「本当は違う部活の顧問をやりたかった」、「子どもを保育園に預けていて、引き取りに行く時間がない」、「部活の時間を専門分野の研究にあてたい」。

 

そして、ヤフーニュースのタイトル通り「15時半くらいまでフルに授業をやって、その後に部活の顧問をしたら、とてもじゃないが授業の準備をしたり、生徒の提出物をゆっくり見ている時間なんてない」と授業や学級運営に支障をきたしているという理由が多かったです。

 

おそらく100人の先生に「部活の顧問が好きか嫌いか?」と聞いたら、80人の先生が「嫌い」と答えるのではないでしょうか。

 

ちなみに、むかしは生徒からの提出物や仕事のデータを、家に持ち帰って仕事をしていたそうですが、昨今は個人情報の保護や、また先生が生徒の個人情報の入ったUSB等を紛失した事故が相次いだため、家に持ち帰れなくなり、仕事はたまる一方だそうです(こっそり家に持ち帰っている先生はいるらしいですけど)。

 

ただ、部活の顧問が嫌で嫌で仕方がないと言っている先生のうち、誰一人として部活の意義を否定する先生がいなかったのは、正直意外でした。

 

知り合いの退職された元中学校先生は、運動部の顧問をルールも知らないのにずっとやっていたそうです。そして、「給料が減ってもいいから部活の顧問をしたくない。専門の理科をもっと研究したい」とずっと思っていたそうです。もちろん給料が減らされる理由はないのですが、年配の先生なので、部活も給料の一部と考えていらっしゃったのでしょう。

 

数年前に先生と食事をしたときに、「やはり部活は専門家が見るべき。素人が教えるのとプロが教えるのでは、生徒の上達具合が全然違う」と前置きした上で、下記のことをおっしゃっていました。

 

・野球やサッカーといったメジャースポーツはいいが、マイナースポーツや文化系部活を教えられる人は地域に必ずしも多くない。

・マイナースポーツや文化系部活の場合、中学校から始める生徒がほとんどで、また活動できるのが学校だけになることが多く、部活がなくなると将来の逸材を潰すことになりかねない。

・義務教育である公立中学は、はっきり言って学校の授業はろくに聞いていないけど、部活が楽しみで学校に真面目に来ている生徒も決して少なくない。

などから部活は残すべきと主張されていました。

 

たしかに先生がおっしゃるように、野球やサッカーといったメジャースポーツであれば、日本全国に指導者も多いですし、中学校の学区内に一人くらいは教えられそうな人もいると思います。

 

ただ、マイナースポーツや文化系部活、学校にしかない設備を活用する部活はどうなんでしょう。こんなこと言ったら失礼ですけど、文化系部活の顧問ができる人ってあまりいなそうですし、弦楽器なんて学校にしかそうそう置いてないですし、田舎にいったら水泳部の活動場所は、学校以外にプールって近くにあまりないですよ。

 

仮に引き受けてが現れたとしても、そのコーチ代は誰が払うんでしょう。遠征先でトラブルが起きたとき、そのボランティアの方が引率責任を取るのでしょうか? ボランティアは絶対に有効活用すべきですが、やはり学校の先生が顧問として活動を見るのが筋だと思います。

 

また部活については、生徒や保護者からも問題提起がされています。「本人の意思に反して強制的にどこかの部活に所属しなければならない」、「部活が忙しすぎて子どもが毎日くたくたになって帰ってきて、土日も休めない」、「受験に集中したいのに部活が邪魔」などなどです。

 

中学生だと同調圧力が強いので、中学生本人の意思だけで部活に入らないことを先生に伝えたり、周りが熱心に部活動に取り組んでいる中で自分だけが練習を休んだり、練習を早退することはきわめて困難です。というより、絶対に無理でしょう。部活動が嫌で嫌でたまらない生徒も絶対にいるはずです。

 

ただ、先生たちは声を大にして言いませんが(仮に言うと「公務員は楽していい給料貰っているのに」と世間から叩かれますから)、保護者から部活を強制にして欲しいという有声無声の要望があったのも事実ではないでしょうか? 最近は共働きの家族が増えており、学校が終わってから家に帰っても、誰も面倒を見る大人はいません。

 

とくに地方の場合、通学に時間がかかり、冬は都心と違って街灯が少なく真っ暗になるなので、みんな一緒に帰れる部活に所属していた方が、保護者の視点からも好ましいという理由もあったと思います。そっちの方が安全ですし、また中学生は大人が見てないところで悪さしますからね。部活に感謝している保護者も大勢いるのではと思います。

 

中学校の部活問題で感じるのは、「先生・学校」と「生徒・保護者」のお互いが不幸になっていることと、メディアが一部の地域の話だけを持ち出したり、片方からの意見しか伝えないことです。もう少し、日本全国の実情、双方の考えや事情を伝えて欲しいと思います。

 

最後になりますが、やはり部活の顧問をされている先生には、充分な時間外手当を出すべきです。また夏休みも遠征などで潰れるため、ほとんどの先生が有給休暇の消化をできていない状況では、有給の買い取りも検討すべきです。

 

ただ、大手メディアは自分たちがサービス残業を強制していますし、有休消化も取りにくい上、有給の買い取りも行っていないので、ここまで踏み込んでいません。その上で、ボランティア制度や学外の指導者を招くという議論をしたらどうでしょうか?

 

また、「部活動の強制」問題も該当する子どもたちにとっては深刻な問題で、「部活をやらない選択の自由」をすぐさま与えるべきですし、学校や顧問の先生は「部活をやらない選択をした生徒」に同調圧力がかからないよう注視すべきでしょう。

 

学校の諸問題に関しては「声を大にしたものが勝つ」やり方ではなく、「子どもたちにとって何がベターなのか?」を第一優先として議論して欲しいです。

 

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